SDGsへの取り組みについて

お供え物供養について
紀北青年僧の会が行っている「お供え物供養」は、SDGsへの取り組みの一環にもなっています。お盆にはたくさんのお供え物をしてご先祖様を迎え、供養しますが、お盆が終わるとそれらがゴミとなって処分されているという実体があります。海や川、そして街の環境を守るためにも、お盆のお供え物の処理の仕方には十分に気をつけて、皆さんにもご協力いただきたいと思います。

SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことで、これの頭文字をとって「SDGs(エスディージーズ)」と呼ばれています。

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

外務省HPより

世界を見渡してみると、戦争や貧困、差別など、いろいろな面で苦しんでいる人がたくさんいます。また環境破壊により、地球温暖化が問題視されています。

世界中の人々を誰一人として取り残すこと無く幸福を求め、環境を守り、よりよい世界を作っていくことを目指します。

17の目標と169のターゲット

SDGsでは、大きく分けて17の目標と、それに関連して一つ一つの目標の中でターゲットがあり、全部で169が定められています。

また、これらは一つ一つが独立して存在しているのでは無く、それぞれが関係し合い、影響し合って存在しています。

例えば、「1貧困をなくそう」という目標を掲げるためにはたくさんの食料を生産することが必要です。しかし、ただ単にたくさん生産すればいいわけではありません。魚の乱獲が起こって海の環境があれれば「14海の豊かさを守ろう」という目標が遠のきますし、食料生産のために工場が増えれば温暖化が進み「13気候変動に具体的な対策を」とは真逆の方向に進んでしまいます。

「11住み続けられるまちづくりを」という目標のためにインフラの整備が進めば、「15陸の豊かさも守ろう」という目標が守れず、環境破壊につながってしまうことにもなります。

17の目標が互いに複雑に絡み合い、影響し合っている中で、よりよい社会を作っていくことが求められているのです。

紀北青年僧の取り組み

これらSDGsの目標の中で、紀北青年僧が取り組んでいることについて紹介します。

海の豊かさを守ろう

「お供え物供養」の始まりは、お盆の時に出たお供え物ゴミを回収するという、ゴミ拾いのボランティアから始まりました。

和歌山ではお盆にお迎えしたご先祖様を、海や川に流して送るという習慣がありました。その際に、お盆の期間中にお供えした野菜や果物を海や川に流していました。

するとどうなるでしょうか。海や川はゴミとなったお供え物があちこちで流れることになります。せっかくご先祖様を丁寧に供養していても、自分たちの生活環境を汚していては意味がありません。

そこでお盆の終わりに、紀の川に流された「お供え物ゴミ」を拾い集めるというボランティア活動を始めることにしました。

これが、現在行われている「お供え物供養」の始まりです。

この活動がきっかけで現在はほとんど川にお供え物を流す人は無くなりました。

つくる責任 つかう責任

かつて流されていたお供え物は、「お供え物供養」をすることで流されなくなり、海や川の環境が守られるようになりました。

ところが、「お供え物供養」の実態を見ていただきたいと思います。

「お供え物供養」では、お盆でご先祖様にお供えしたお供え物を預かり、供養しています。持ってこられるお供え物は様々で、塔婆や初盆のやぐら、おがら、古くなった位牌など、燃える物はお焚き上げをして供養しています。また野菜や果物など、生もののような燃えない物は供養した後、「ゴミ」として処分しています。

そして、参拝の方が持ってこられるお供え物のほとんどが野菜や果物などの燃えない生ものです。

つまり、「お供え物供養」でお預かりしているお供え物のほとんどが、最終的には「ゴミ」として処分されているということです。

翌日ゴミとして処理される「お供え物」

実は、お盆のお供え物によるゴミの問題は、全国各地でも起こっています。お盆が済んだ翌日のゴミ捨て場には、たくさんの「お供え物ゴミ」が積み上げられ、お寺や自治体などはその処理に大変苦労しています。

「お供え物供養」の場でも、これまでは持ってこられたものをすべて受け取り処分していましたが、この量があまりにも増えすぎていることから、現在では野菜や果物などの生ものの持ち込みをお断りしています。

それでも毎年、およそ2.5トンが「お供え物ゴミ」として処分されています。

SDGsに「つかう責任つくる責任」と目標が掲げられているように、お供えをするときにも、最後にゴミとならないように気をつけましょう。

お供え物はできるだけ食べてください

お盆にお供えした物は、できるだけ「ゴミ」とならないように処理するようにしましょう。

つまり、できるだけ食べてくださいということです。

ご先祖様にお供えした物を自分が食べるということについて、申し訳ないとか忍びないような気持ちがあるのはよくわかります。

しかし、お供えした物が最終的には「ゴミ」となって処分され、結果として自分たちが住む街の環境問題につながっているとしたらどうでしょうか。これを聞いてご先祖様は、どのように思うでしょうか。

お供えした物を食べることも、とても大切なことです。お供え物のお下がりを食べることも大切な供養であり、また大きな功徳にもなります。

遠慮せずにいただいてください。

生ものの傷みが気になるときは

お盆という暑い時期ということもあって、食べるのに気が引けるということもあるかと思います。

お供え物は、お盆の期間中ずっとお供えしておく必要はありません。傷みやすい野菜や果物などは、お供えしたあとすぐに下げて食べていただいても結構です。

また、お供えするのに傷みにくい物を選ぶことも大切です。お供え物を買うときは、後でお下がりをいただくことを考えて買うようにしましょう。

SDGsの取り組みにご協力を

SDGsは国連で定められた国際社会で取り組む目標です。そのため、規模が大きく自分事として捉えにくいように感じます。

しかし世界の人々が、一人一人それぞれできることから取り組んでいくことでいくことこそが、本当のよりよい社会の実現につながるのでは無いでしょうか。

私たちが住む街を守るため、子供や孫、次の世代に安心して時代を託していくため、今できることは何でしょうか。

「お盆のお供え物のゴミを減らす」ということも、とても大きく大切な行いだと考えています。

皆様にも、紀の川の「お供え物供養」で発生している「お供え物ゴミ」の現状を知っていただき、SDGsへの取り組みにご協力いただきますようお願いいたします。

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